タグ: マテリアルズインフォマティクス
- Materials Projectのデータ一括取得:列形式の配布とmp-apiで読む 2026/10/3
Materials Projectは以前からデータをJSONファイルの束としても一括で配ってきた。2026年6月に本番化した版(v2026.04.13)では中核データの保存層をDeltaテーブルへ移し、配る形式を列形式の表に変えた。この変更を読み、複数のデータベースを束ねて配るLeMaterialと並べる。
- 機械学習ポテンシャルUMAのtask指定:なぜ必要で何に注意するか 2026/10/1
Meta FAIRのUMAは、汎関数の異なる複数のDFTデータセットを一つの重みで学習し、どの理論レベルを再現するかをtask名で受け取る。計算条件の選択が利用者の入力へ移った理由と、その代償を作り手の文書と独立ベンチマークから読む。
- 材料データベースの横断検索:OPTIMADEの仕組みと値がずれる理由 2026/9/21
材料データベースを横断して検索する共通仕様OPTIMADEは、問い合わせの言語と応答の器だけを揃え、値の意味は各データベースに残す。設計理由を仕様と論文に読み、2026年9月に登録23件のうち応答した18件を実測する。代償は、過去の版の比較研究で生成エネルギーの中央絶対差が最大0.105 eV/atomだった点にある。
- 圧電テンソルの機械学習:対称性で決まるゼロをモデルは守れるか 2026/8/28
2026年8月19日のプレプリント。圧電テンソルを機械学習で予測するとき、対称性でゼロに固定される結晶2,000種で、パリティ付きO(3)モデルは18,000回すべて閾値0.01 C m⁻²を下回り、パリティ無しSO(3)は90〜96%で超えた。ゼロを混ぜて訓練した実験でも約9割が閾値を超えた。
- ビームラインでAIエージェントが単結晶アライメント、成果と限界 2026/8/24
LLMエージェントがシンクロトロンのビームラインで試料アライメントのコマンドを自律生成した。ただし実機では安全要件で実行を人間が中継しており、成功率と試行回数が出ているのは仮想環境の側だけである。
- 量子コンピュータの化学計算はどこまで来た?量子優位が言えない理由 2026/8/17
量子古典ハイブリッドは12,635原子のタンパク質–リガンド複合体まで届いたが、著者ら自身が量子優位性とは呼ばないと明記している。2026年の別論文は量子アルゴリズムをGPU上で古典的に走らせ、化学での境界を200量子ビット超へ押し戻しうると示唆した。
- 機械学習ポテンシャルとは?仕組み・速さの理由・学習範囲外の限界 2026/8/14
DFTは正確だが遅い。ならば、DFTが出した答えを大量に学習して、原子の配置からエネルギーと力を一瞬で予測できないか。この発想を形にしたのが機械学習ポテンシャル(MLIP)だ。なぜ桁違いに速く、なぜDFT並みの精度を保てるのか。そして、どこで信用できなくなるのかを辿る。
- 機械学習ポテンシャルの微調整:効く条件と、手法より効く設定 2026/8/4
汎用MLIPを自分の系に微調整するか、そのまま使うかの判断材料。20%のデータ(664構造)で全データ学習に並んだ例がある一方、MACE系の比較では手法ごとの最適な学習率が一桁から二桁違い、MOFでは汎用モデルの2.60 GPaが微調整モデルの3.16 GPaを下回った。
- DFTとは?密度汎関数理論の考え方と、計算が遅い理由・近似の限界 2026/7/25
DFT(密度汎関数理論)は、材料の性質を量子力学の原理から予測する第一原理計算の主力である。全電子の波動関数は厳密には事実上解けないが、DFTは問題を電子の密度で解き直してこれを可能にした。それでも標準実装の計算量は原子数のおよそ3乗で増え、正確さは交換相関の近似で決まる。その遅さと精度の限界の出どころを辿る。
- 機械学習ポテンシャルのベンチマークは何を測る?順位と実用性の差 2026/7/21
原子の万能な機械学習ポテンシャル(MLIP)のベンチマークは飽和に近づいたとの指摘がある。だが「安定材料を当てる」で上位のモデルが、熱伝導では最下位に沈む例がある。別のモデルは長い分子動力学で発散する。スコアが測るのは「発見」の一面で、そのポテンシャルが実務の計算で使えるかは別の話だ。
- 能動学習・ベイズ最適化とは?次の実験の選び方と限界 2026/7/18
計算で候補を一括にふるう手はある。だが本当の性質は、作って測るまで分からないことも多い。その実験は遅くて高い。ならば「次にどれを試すか」を一手ずつ賢く選ぶしかない。約80万通りのNiTi系組成から、初期22個+提案36個の合成だけで狙いの合金に届いた、とXueらは報告している。本稿は能動学習とベイズ最適化を扱う。
- GNoMEの220万個の予測構造、実験で確かめられたのはいくつか 2026/7/8
2023年、あるAIが220万個の結晶構造を発見し、人類の知る安定材料を一桁増やしたと発表した。報道は沸いた。そして材料化学者たちが、中身を見にいった。本稿の主題は、予測から「本当に作れる新材料」までの落差である。
- 機械学習ポテンシャルとは?DFTとの関係と汎用モデルの限界 2026/7/8
MLIP(機械学習原子間ポテンシャル)は、結晶をグラフとして読んでエネルギーと力を予測し、DFT を桁違いに速く近似する。周期表の広い範囲を一つのモデルで覆う汎用ポテンシャルは LLM と同じ事前学習の形をとり、学ぶのは DFT であって現実ではないという限界も同じ形で抱える。
- 凸包とは?材料の安定性がエネルギーの相対値で決まる仕組み 2026/7/8
AIが「新しい材料を発見した」と言うとき、実は何を計算しているのか。結晶の安定性は内在的な性質ではなく、競合する全配置に対する相対値である。それが凸包だ。
- マテリアルズインフォマティクスの課題:機械学習が効く所と過大評価 2026/7/4
matminer・CrabNet・CGCNNなどOSSスタックが実際に何をするのか、そしてMLが材料開発を本当に加速する場所と過大評価される場所を区別する。
- 材料探索の組み合わせ爆発:総当たりできない理由と、賢い探し方 2026/6/26
材料が「原子の並べ方」で決まるなら、片っぱしから試せばいいと考えるのが自然だ。だが少し数えると、その道が閉ざされている理由が分かる。本稿は組み合わせの爆発を数え、爆発があるから「賢く探す」必要が出てくることを示す。
- 分子動力学とは?原子の運動を解く仕組みとシミュレーションの限界 2026/6/26
温度とは原子の動きの激しさだ。では、その動きをコンピュータの中で再現できないか。原子一つひとつにニュートンの法則を当てて時間を進める計算を、分子動力学と呼ぶ。実際に走らせたシミュレーションでは、結晶の秩序が崩れていく。
- 脆性破壊とは?キズから割れる原因と、ものづくりの対策 2026/6/25
脆い材料はなぜ、そこで割れるのか。切り欠きを入れた結晶の板を分子動力学で引き裂くと、ひびはキズの先端から開いて板を横切る。応力集中、Griffith の平方根則、最弱リンクの考え方から、ものづくりがキズを恐れる理由をたどる。
- 拡散とは?原子が混ざる仕組みと、距離が時間の平方根で伸びる理由 2026/6/25
半導体に不純物をしみ込ませる、鉄を硬くする、セラミックを焼き固める。どれも、原子が別の物質の中へ少しずつ移っていく「拡散」という現象だ。実際に走らせたシミュレーションで、その“遅さ”の正体まで見てみよう。
- 温度とは?原子の揺れで分かる、材料が伸びる・溶ける・混ざる理由 2026/6/21
「熱い」「冷たい」は、手で触れば分かる。では原子の目線で見ると、温度とは何だろう。材料の中では、温度は原子の揺れの激しさとして現れ、その揺れが伸びる・溶ける・混ざるといった現象を引き起こす。
- 材料スクリーニングとは:計算で候補を絞る順番と、見逃しの代償 2026/6/21
ありうる材料は天文学的に多く、全部は作って試せない。材料スクリーニングは、安いフィルタを先に、高いフィルタを後にかけて「作る価値のある数個」まで絞る。フィルタの誤り方と、計算でいちばん精密な段にも残る近似を、原典の数字で見る。
- 金属は曲がるのにガラスが割れるのはなぜ?転位とすべり面の有無 2026/6/21
スプーンは曲がるのに、コップは落とすと割れる。違いを主に分けているのは材質名ではなく、動かせるすべり面があるかと、結合が方向にこだわらないかである。金属の転位、ガラスの網目と表面の傷、結晶格子を持たない金属ガラスから、この違いを説明する。
- ダイヤモンドと黒鉛の違い:構造・硬さ・電気を通す理由 2026/6/21
地球上で最も硬い天然の物質と、紙の上で崩れていく芯。芯に使われている黒鉛とダイヤモンドは、同じ「炭素」だけでできている。違うのは中身ではなく、原子の“並べ方”だ。材料の性質は組成だけでなく構造で決まる、という見方をこの組で確かめる。
- AIの材料発見はどこまで使えるか:効く段階と過大評価の3例 2026/6/21
「AIが数十万の新材料を発見」「ロボットが17日で41個合成」という華々しい見出しが続いた。だが専門家が中身を見にいくと、多くは“新しくなかった”。AIが材料探しで本当に効く場所と、見出しが先走る場所を、冷静に切り分ける。