ものづくり・製造
イメージセンサとは?光を電気に変える仕組みとソニーが強い理由
- イメージセンサ
- 半導体
- 微細加工
- ソニー
- 裏面照射
- 積層型
- 2層トランジスタ画素
- フォトダイオード
- 画素
- 表面照射
- 飽和信号量
- ビニング
- ダイナミックレンジ
- 垂直統合
- 世界シェア
- 光子
- 配線
- 波長
- ISOCELL HP5
- iPhone
- OmniVision
- サムスン
- アップル
- スマホ
目次
スマホで写真を撮るとき、レンズが集めた光を小さな半導体が受け止めて電気信号に変えている。この部品をイメージセンサといい、光を受ける小さな素子(画素)を半導体のチップの上に敷き詰めた作りをしている。画素の一つひとつが受けた光の量を数値に変え、それを並べたものが一枚の画像になる。
画素を小さくすれば、同じ大きさのチップにより多くの画素を並べられる。ただし画素を小さくするほど一つの画素に届く光は減り、画像は暗く、雑音が多くなる。限られた面積でどれだけ多くの光を拾えるかが、この部品の作り手どうしの競争の中心にあり、作るには半導体の微細加工、アナログ回路の設計、光学を一体で扱う必要がある。
この部品で世界の約半分を占めるソニーを例に取る。
イメージセンサはどうやって光を数えて画像にするのか。ソニーはどの技術で首位に立ち、その地位は何に左右されるのか。
イメージセンサは、光が当たった量に比例して電気を溜める画素を数千万個並べた部品である。 ソニーは配線を画素の裏に回して同じ光をより多く拾う裏面照射を製品化し、回路のチップを重ねる積層型、画素の部品を2階建てにして溜められる電気の上限を増やす2層トランジスタ画素を重ねてきた。世界シェアは集計によって4割台半ば〜5割強(売上ベース)だが、最小画素の一番手は競合で、市場の6割超を占めるスマホの需要と、顧客の調達先の選び方に左右される。
画素を小さくすると光が減り、配線をどかすと戻る
※ この節の数値は説明のための仮定で、測定値ではありません。
一辺 1µm の画素に、ある明るさで1回の撮影のあいだに光子が 400 個届くとする。光子1個が電子1個をはじき出すとすれば、画素に溜まる電子は 400 個で、この数を数値に変えたものがその点の明るさになる。
画素の一辺を 0.5µm にすると、面積は4分の1になる。同じ明るさでも届く光子は 100 個に減り、溜まる電子も 100 個になる。
次に、光の入り口の前に配線があり、届いた光の半分をさえぎるとする。一辺 1µm の画素で溜まる電子は 200 個、0.5µm の画素では 50 個である。配線を画素の裏側へ回すと、それぞれ 400 個と 100 個に戻る。
400・100・200・50 の四つの数から読めるのは、次の二点である。
- 画素の面積が減ると、同じ明るさで溜まる電気も面積に比例して減る。
- 光の入り口の前でさえぎる物をどかすと、画素を大きくしなくても溜まる電気が増える。
イメージセンサは「光を数える」装置
中身は、微小な光センサ(画素)を数千万個敷き詰めたものだ。
ひとつの画素には、光を電気に変える「フォトダイオード」という素子がある。 光(光子)が当たると電子がはじき出され、当たった光の量に比例して電気が溜まる。その電気を数値に変換すれば、「この点はどれくらい明るかったか」が分かる。 これを数千万点ぶん一斉にやれば、一枚の画像になる。つまりカメラのセンサとは、何千万個の“光の計量カップ”が並んだ盤なのだ。
問題は、画素を小さくするほど、そこに届く光が減って暗く・ノイジーになること。 この戦いの歴史が、そのままソニーの技術の歴史になっている。
世界の約半分がソニー製
世界のイメージセンサの4割台半ば〜5割強(売上ベース)、さらにスマホ向けに限れば5割超が、ソニー製だ1。独立系の集計とソニー自身の公表値では、数字が8ポイントほど違う。 とりわけiPhoneは長くソニーに頼ってきた。アップルのティム・クックCEOは2022年12月、「10年以上にわたってソニーのイメージセンサを使ってきた」と述べている2。クックが言ったのは採用の長さであって独占供給ではないが、事実上続いてきたソニーへの依存を、2025年の報道も「exclusive reliance on Sony」と表現している2。
ソニーの一手:「窓の前の配線」をどかす(裏面照射)
画素には、信号を運ぶ金属配線が必要だ。昔の作り方(表面照射)では、その配線を光の入り口の“前”に置いていた。入ってきた光の一部を配線がさえぎり、その分は画素に届かない。
そこでソニーが取り組んだのは、チップを裏返す構造を実用にすることだった。 配線を画素の裏側に回し、光がフォトダイオードに直接当たるようにした。これが「裏面照射(BSI)」だ。ただ、裏返す構造は一般に雑音や暗電流、欠陥画素、混色が増えやすく、ソニーは裏面照射向けに作った独自のフォトダイオード構造とオンチップレンズでそれを抑えたと説明している3。同じ光でも、ずっと多くを拾えるようになった(同じ画素サイズの表面照射品と比べ、ソニーの測定でほぼ2倍の感度)3。ソニー自身の沿革は、民生向けの製品化を2009年としている3。ただし、これを世界初の量産とは言い切れない。OmniVision も2008年9月に裏面照射のセンサを発表し、2009年第1四半期の量産開始を見込んでいた3。
その先も、ソニーは積み重ねた。
- 積層型(2012年):画素の層の“下”に、信号処理の回路チップを重ねて貼り合わせる。小さくしながら、賢くできる4。
- 2層トランジスタ画素(2021年発表):これまで画素の中で横並びだった部品を上下2階建てにして、一つの画素が溜められる電気の上限(飽和信号量)を1平方µm換算でおよそ2倍にした5。
「これ以上小さく」の壁から“賢さ”へ
画素はどんどん小さくなり、いまでは1辺が約0.5マイクロメートルの画素まで発表されている。2022年に0.56µmを発表したのは競合のOmniVision、2025年に0.5µmを「世界初」として発表したのはサムスンだ6。最小画素の一番手は、ソニーではない。 0.5マイクロメートル=500ナノメートルは、可視光の波長そのものと同じ桁だ。ただし「波長より小さい画素は作れない」わけではない。OmniVisionは、赤色光の波長より小さい0.56µm画素の発表で「画素の微細化はもはや光の波長には制限されない」と述べ、可視光域では0.61µm品と同等の量子効率を実証したと主張している(同社の自己申告)6。OmniVisionの主張どおりなら、壁は物理の禁止というより、微細化を続けて割に合うかという設計と採算の問題になる。
だから競争の軸は、「小さく」だけでなく「賢く」へ広がる。何枚も重ねて回路を載せ、画素同士を束ね(ビニング)、計算で暗所やダイナミックレンジを稼ぐ。半導体の微細加工とアナログ回路の設計と光学が一体で要求される。この三つをまとめて扱えることが、ソニーの強みの土台だと本稿は見る。
なぜ簡単に真似できないのか
ソニーは、設計から製造までを自社で抱える垂直統合(IDM)で、2021年からの3年間に半導体分野へ約9300億円を投じたと自社で公表している7。熊本・長崎をはじめ国内6県に製造拠点を持つ7。 裏面照射・積層・サブ波長画素といった工程は、画素を深い溝で隔てるなど、ナノの作り込みの塊だ。化学(材料)・微細加工・アナログ設計・光学を一体で扱い、歩留まり良く量産できることが強さになる。
ただし、イメージセンサ市場はスマホ向けが6割超を占め(Yole)、その波を大きく受ける8。ソニーは2025年に世界シェア6割を達成するとしていたが、2025年6月の報道によれば、その達成時期を先送りした。同じ報道は背景に、顧客側の減速と中国勢との競争を挙げている8。アップルが次世代センサの製造でサムスンと組み、ソニーへの独占的依存から転換するとの報道もある2。世界一は、ここでも固定された地位ではない。
出典8件
-
DPReview(2022年12月)・MacRumors(Financial Times 発, 2025年8月). https://www.dpreview.com/news/3849832154/apple-s-tim-cook-confirms-it-s-been-using-sony-sensors-in-its-iphones-for-over-a-decade — クックの発言は採用期間で独占供給ではない。FT はアップルがサムスンとテキサスで次世代センサを作る計画を、ソニーへの独占的依存からの転換と報じた(計画段階)。 https://www.macrumors.com/2025/08/07/apple-to-switch-to-us-made-iphone-sensors/ ↩ ↩2 ↩3
-
ソニー 裏面照射型CMOSイメージセンサの開発発表, 2008年6月11日. https://web.archive.org/web/2015/http://www.sony.net/SonyInfo/News/Press/200806/08-069E/index.html — 1.75µm角の表面照射品比で感度ほぼ2倍(自社測定)。雑音などは独自の構造とレンズで抑えたとする。製品化2009年は同社沿革(自己申告)。OmniVision も2008年9月に発表しており、世界初の量産とは断定できない。 https://www.sony-semicon.com/en/company/history/index.html / https://www.ovt.com/press-releases/omnivision-premieres-worlds-first-1-3-inch-8-megapixel-camerachip-sensor-with-1-4-micron-omnibsi-technology/ ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
ソニー 積層型CMOS(Exmor RS)発表, 2012年8月20日. https://web.archive.org/web/20121011235519/http://www.sony.net/SonyInfo/News/Press/201208/12-107E/ — 「世界初の積層型」は発表時点に限った自己申告。出荷は予定で、2012年10月は3機種のうち ISX014 のみ、主力の IMX135 は2013年1月の予定。phys.org は注記と表を欠く転載。 https://phys.org/news/2012-08-sony-exmor-rs-world-stacked.html ↩
-
ソニーセミコンダクタソリューションズ 2層トランジスタ画素の発表, 2021年12月16日(IEEE IEDM 2021). https://www.sony-semicon.com/en/news/2021/2021121601.html — フォトダイオードと画素トランジスタを別の層に分け、飽和信号量が1平方µm換算で自社従来品のおよそ2倍とする自己申告。空いた層でアンプを大きくでき暗所ノイズが減ると説明する。 ↩
-
OmniVision プレスリリース, 2022年2月15日. https://www.ovt.com/press-releases/omnivision-leads-pixel-shrink-race-with-the-development-of-worlds-smallest-0-56-micron-pixel/ — 0.56µm画素で微細化は光の波長に制限されないとし、可視光域で0.61µm画素と同等のQEを主張(自己申告)。サムスンは2025年10月7日に0.5µm画素の ISOCELL HP5 を「世界初」と発表した(日付は GSMArena)。 https://semiconductor.samsung.com/image-sensor/mobile-image-sensor/isocell-hp5/ / https://www.gsmarena.com/samsung_unveils_new_200mp_isocell_hp5_sensor_for_phones-news-69829.php ↩ ↩2
-
ソニーセミコンダクタソリューションズ 自社サイト. https://www.sony-semicon.com/en/company/group/index.html — 2021年からの3年間の設備投資は約9300億円(グループ全体でイメージセンサ限定ではない・自己申告)。拠点は熊本・長崎・山形・大分・鹿児島・宮城。Japan Today は2023年に計画値約9000億円と報じた。 https://japantoday.com/category/tech/sony-to-build-new-image-sensor-factory-in-kumamoto-in-chip-push ↩ ↩2
-
DigiTimes, 2025年6月16日. https://www.digitimes.com/news/a20250616PD225/sony-sensor-competition-2025.html — 2025年の売上シェア60%目標の達成時期を先送りしたと報じる(目標値の引き下げには触れない。無料のリードまで確認)。スマホがCIS市場の6割超という値は Yole 2025年版(optics.org 経由)。 https://optics.org/news/16/7/48 ↩ ↩2
この記事はAIを使用して執筆されました。内容には誤りが含まれる可能性があります。事実や数字の出典は脚注から確かめられます。